どうやって謝れば伝わるの?
ここからが本題だと言い、伊藤さんは「謝罪」を例に挙げる。謝罪の言葉は「ごめんなさい」だ。しかし僕たちはこの気持ちを伝える相手によって言葉を変えている。例えば親しい友人なら「わりぃ」、お客さんなら「申し訳ございません」、恋人になら言葉にせずアツい抱擁か。ともかく、表現は、相手によって伝え方が変わる。さらに言えば、その言葉をどんなツールで伝えるかも変わってくる。手紙で言うのか、絵文字も付けてメールで送るのか、電話か、それとも会って伝えるか。僕たちは無意識のうちにでも意図的にこのツールを使い分けている。
伊藤さん これが、僕らの業界で言う、『メディア』です。同じ情報だけれど、何で伝えるかによって伝わり方って変わっちゃうんですね。つまりコミュニケーションというのはインフォメーションではないんですね。『伝える』というのはインフォメーションです。何か一方的に情報としては発信している。だけど伝わらなかったのには必ず理由があるわけです。『伝わる』というのは相手に到達することなんです。
ではその到達する場所とは、僕たちが伝えようとしている相手とは一体何なのだろう。