「自分事化」する。
結局、この特集の紹介を通じて伊藤さんは僕たちにどんなことを伝えたいのだろうか。「伝えるから伝わるへ」これを理解しながらそのノウハウはGTの中でどのように活かされているのだろうか。
伊藤さん こんな感じでいろんなページがありながら一つのメッセージに向かうようにつくっているんですが、この「伝えるから伝わるへ」ということを表現に落とし込む時に僕が最も大事にしていることというのが「どうやったら『自分事化』できるか」というその一点を常に探しています。それは取材をする僕自身もそうですし、相手に伝える時には「何故伝わらなかったのか」「何故伝わらないと思うのか」ということを常に考えるしかないんですね。N君が「僕らがやっていることは非常に難しくてなかなか興味を持ってもらえないと思うんです」と言っていましたけど、感覚的に捉えているその勘は正しいと思うんですが、「じゃあなんで興味をもってもらえないのか」ということを考える、その人にとって自分事化できる接点てなんなのかということを、僕は表現をする時に常に考えています。
「接点」という言葉にピンときた。確かに僕たちのやっていることは内容が多分にアカデミックなためなかなか読んで欲しいと思う相手の意をひくことができない。ただし、そのアカデミックな内容を自分事化してやっている「僕」という人間は読み手と同じ地平にいる。いくら話が漢字だらけの難しいものでも、アカデミックなことに興味のない僕が興味のある僕へと変化するその接点の部分はわかってもらえるはずだ。