平岩弓枝 『花祭』(講談社文庫、1984)を読了。
前述した山田詠美の小説と一緒に古本屋で50冊ほど纏め買いした中の一冊である。
話の筋は別段上手いわけでもないし、ちょっと最後も予測がつく展開。
「こうなったら最後はこうならざるを得ないだろうなー」と思って読んでいるとその通りの展開。おそらく殆どの読者が予想する通り。裏表紙には「激しい愛を寄せる青年調香師・彰吾が現われて」とあるが、それはちょっと違う気がする。激しい愛を寄せたのは別の人間であって、主人公の彰吾自体は密やかな愛を寄せていたのではないか。
本文中に「ゲランの夜間飛行を愛用している」という一節があったが,今となってはこの香水が入手困難であるだけに、この小説が書かれて20年以上前のものであったことを感じさせる。
内容は取り立てて良いとは思わないものの、『花祭』というタイトルが素敵だと思った。