ここからは具体的に国立大学法人法における、 学長選考の規程をみていくことにする。
前回の記事にも書いたが、 国立大学法人法によって、学長を選ぶに当たっては、 学外委員を加えた学長選考会議が置かれることになった。
しかし、それを理解してもらうためには、同じく国立大学法人化によって設置された、 経営協議会と教育研究評議会を解説しておく必要がある。
下の図表を見てほしい。 以下で下の図表を解説していく。
経営協議会は、学長と、学長が指名する理事と職員、 教育研究評議会の意見を聞いて学長が任命する学外委員、で構成され、 主に国立大学法人の経営に関する事項を審議する。
また、教育研究評議会は、学長と、学長が指名する理事、 各学部や研究科など重要な機関の長のうち教育研究評議会が定める者、 教育研究評議会が定めるところにより学長が指名する職員、で構成され、 主に国立大学の教育研究に関する事項を審議する。
そして、学長選考会議は、経営協議会から選出される学外委員と、 教育研究評議会から選出される学部などの機関長と職員、 それぞれ同数で構成される。 さらに学長選考会議の決定次第で、学長や理事も選考会議に加われるが、 それは選考会議の三分の一を超えてはならない。
つまり、機構長・職員らと学外委員が同数で、 全体の三分の一を超えない範囲で、学長や理事が選考に加わる。
国立大学法人法による規定はここまでである。
これらの規定の運用は各大学の裁量に任せられている。
たとえば人数の割合の規定は存在するが、 人数自体の規定は存在しないため、 そこは各大学の裁量である。
また、国立大学法人法自体には、 学内意向調査の規定自体が存在しないため、 意向調査をどの程度重視するかも異なるし、 そもそも行うかどうかも大学側の意思次第。
学長再任の規定も各大学の裁量に任されている。
次の記事では東京大学と東北大学を例に出して、各大学における実際の運用を見てみよう。