ここ数年、学長選考問題がさまざまな大学で発生している。
たとえば富山大学。 学長の就任に対して、6学部の教授会が反対や懸念を表明する声明を発表している。
新潟大学、滋賀医科大学では訴訟にまで発展している。 高知大学は現在も訴訟中だ。
なぜこのような問題が発生しているのだろうか。 Web長山本君から富山大学学長選考問題を教えてもらってから、 かなりの下調べをした。
調べてみると、直接的には5年前の国立大学法人化に伴う、 学長選考の制度改変に端を発しているようだ。
もちろん根はもっと深い。 学問の自由、それから生まれる大学の自治とも関連してくるだろう。 さらには、選挙とはどのような制度なのか、 どのような制度であるべきなのか、 などという民主主義の根幹にまで達する議論も可能だろう。
また、このゼミを主宰されている立花隆先生の著作、 「天皇と東大 大日本帝国の生と死」の中では、 戸水事件や沢柳事件、滝川事件などの いわゆる戦前の大学受難史を詳細に描かれている。
日本における学問の自由や大学の自治は、 それらの事件の教訓として戦後確立した。 それらに関連した歴史的な側面からの考察も考えなければならない。
諸外国の制度との比較も避けられないだろう。
国立大学法人化から5年が経過した。 とりあえずのまとめの記事を書くのにもちょうどいい時分だろう。
目標としては、国立大学法人化による学長選考の制度的変更点、 各大学固有の制度から、問題の経緯、論点などを体系的にまとめ、 それに対する考察を書いてみたいと思う。
これからの更新にご期待いただきたい。