最近、春を感じる温かい日々が続いています。また、もう少しすればもっと温かくなり、そして暑い夏がやってきます。一方、日々を振り返ってみれば先日までは寒い冬が続いていました。このように、われわれの生活は四季に富んでいて、取り巻く環境の「温度」もめまぐるしく季節によって変化します。
この温度について注目して研究しているのが富永先生です。私たちが温度を感じる時、その情報は受容体で感知され電気信号に変換されて神経を伝わって脳に到達します。富永先生はこのセンサーの機能に関しておもしろい発見をしました。富永先生はそもそもトウガラシを食べたときになぜ、人は辛いと感じるのか?を研究していて、温度センサーの発見をしました。
周りの温度を感じる時、私たちの体ではTRPチャネルという受容体が大きな役割をしています。このチャネルが熱を感じることで開き、そして電気信号が発生するのです。このTRPチャネルは多くの種類が発見されており、しかおそれぞれが担当する温度帯があることが判明しました。つまり、ある温度からある温度まではある種類のTRPチャネルが、そしてまたある温度からある温度までは別の種類のTRPチャネルが働く、というのです。
さらにはこのTRPチャネルはおもしろい性質を持っています。トウガラシの主成分であるカプサイシンを受容するセンサーは、熱い温度も受容するセンサーでもあったのです。つまり、辛いと感じる刺激と熱いという情報がまったく同じ経路で脳に到達することがわかったのです。私たちが辛いものを食べて辛いと感じると同時に、熱いと感じる仕組みはここにあったわけです。
さらに研究をすすめた結果、体の随所にこの温度センサーであるTRPチャネル群が存在することがわかりました。このことは温度を敏感に感じて体の様々な部分が機能していることを示唆します。
温度からみる、体の不思議な挙動…富永先生のHOTな講演をお楽しみに。 |