鍋倉先生は産婦人科医ということもあり、胎児を扱った話題から講演が始まりました。
胎児の脳の形成は日を追うごとにどんどんすすんでいきます。9ヶ月になるともうほぼ外見は人間の完全な脳の形になるのです。脳の形成がすすんでいくと同時に、胎児の行動やそのリズム、また刺激に対する反応もどんどん発達していきます。その行動の中の眼球運動についてのお話に講演はすすんでいきます。胎児の眼球は妊娠16週では運動に規則性は見られないのですが、発達していくにつれてある規則性を帯びてきます。そしてその眼球運動は規則性を持ってくると、次のおもしろい挙動を示しだします。なんと排尿サイクルと同期してくるのです。つまり胎児が眼球運動を始めるとそれと同時に排尿が起こるという現象が起こります。大人の人々にとっては驚くべきことです。しかしこの奇妙な同期も胎児の成長がすすんでいくとやがて消失していきます。ここでまとめると、胎児の脳の中枢神経系ではお互いの機能が統合しそして解離していくということが起こるのです。 |