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立花隆+東大立花ゼミ シンポジウム事前取材

9月8日 国立天文台 家正則先生

 土居先生の案内で、東大の天文学教育センターから5分ほど歩いて家先生の部屋に到着。その部屋で取材が始まった。

 家先生は、いわば「宇宙の考古学」を研究されている。先生はすばる望遠鏡を用いて最も遠い(=観測可能で最も古い)銀河を二年前に発見し、その記録は今も続いている。取材はその話から始まった。

 暗黒時代や、吉田先生がシミュレーションで計算したファーストスター誕生の頃は、理論、計算で見えた気にもなる。しかし、実際はどうなっているのだろうか? それは分かっていない。観測者はできるだけ昔に遡ろうと(つまり、遠くの銀河を見ようと)観測を行っている。そして、一番遠い銀河を発見した観測方法について資料と共に説明して下さった。もっと遠くの銀河を見る研究など、これから先の研究目標も教えて頂いた。

 話はすばるの次の望遠鏡へと移っていった。すばるの次の世代の巨大望遠鏡(30m望遠鏡)に関してはいろいろなプロジェクトがある。その辺りの動向もシンポジウム当日に話して頂く。

 観測にとって大切な技術として、先生は補償光学にも力を入れている。
 宇宙からやってくる光は大気を通過する間に揺らいでしまう。それを補正する技術が補償光学だ。実際にすばるで撮った像を補償光学の有無で見比べると、補償光学が使われると像がかなりくっきりしている。具体的には、天体の像は、揺らぎによるボケが1/10になり、細部が見えるようになる。これは圧巻だ。
 補償光学についても当日話したい、と先生。30分の中に話題が盛りだくさんになるのは間違いないだろう。

 先生はすばる望遠鏡で観測されている回数が多いこともあって、所々でハワイの話を話して下さった。そこから、観測の大変さ、面白さ、そしてすばる望遠鏡が今の天文学で大きな役割を果たしていることがよく分かった。

 最後に、ハワイの状況を見ることができる部屋や、すばる望遠鏡にちなんだ工夫が随所に見られる講堂を見せて頂いた。天文台の方々がすばる望遠鏡を誇りに思っているのだと感じた。当日はすばる望遠鏡のすごさが分かる30分になるだろう。


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