はじめに
「ノーベル賞なんて、2つも3つも来ますよ」 *1
1989年当時、研究現場を訪れた立花隆に、戸塚先生は冗談混じりに、しかし力強く言った。
実際に、カミオカンデの創始者である小柴昌俊さんは、2002年ノーベル賞を受賞している。
小柴先生の下で素粒子物理を専攻した戸塚先生は、
1998年に「ニュートリノ振動」という現象をスーパーカミオカンデで観測。
それは、ニュートリノには質量があるということを意味した。
ニュートリノに質量がないという前提で組まれていた素粒子の理論が、丸っきり覆った。 *2
そんな戸塚先生がお持ちだった「科学入門」というタイトルの文章の数々。
式で示せば難しい科学が、先生独特の鮮やかな語り口で説明されており
立花先生も、我々ゼミ生も
あっという間に「なるほど!そういうことなのか!」と納得してしまう。
――こんな名文をそのままにしておくのはもったいない! 是非多くの人に読んでもらいたい!
そう思った私達はその原稿の公開をお願いした。先生は快諾してくださった。
このような経緯で、戸塚先生秘蔵の「科学入門」の記事をお届けできることとなった。
原稿の掲載を承諾して頂いた戸塚洋二先生に、この場を借りて改めて御礼を申し上げたい。 |