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コマバ・メモリアル・チェロオーケストラ2013年度演奏会レビュー

 

先日の演奏会のレビューを頂きましたので、転載させて頂きます。

インターメディアテク連続ミニコンサート、第4回目となる今回の出演者は、指揮の木許裕介と15名のチェロ奏者から成るコマバ・メモリアル・チェロオーケストラ。

初めての休日開催ということもあってか、会場には開演前から例を見ないほど多くの人にお集まりいただき、冬の寒さも吹き飛ばすほどの熱 気に溢れていました。

開始時刻になると、フォーマルな衣装に身を包んだ木許と4名のチェリストがエントランスに登場しました。一曲目は「八木節」。

チェロで奏でられる民謡は意外にも心地よく、聴き手は軽快なリズムに体を揺らします。続いてNothing Else Matters。

実はこれはアメリカのヘビーメタルバンドの曲をチェロ4台用にアレンジしたもので、異色な演奏会の幕開けを思わせるオープニングの2曲でした。

 

続いて火星の写真の展示空間(FIRST SIGHT)に移動し、お待ちかね、チェリスト15名全員が勢揃い。

ユリウス・クレンゲル「12台のチェロのための讃歌」、続いて、リチャード・ロジャー ス「全ての山に登れ」。

誰しもが一度は聴いたことのある、あの有名な旋律が大迫力でせまって来ます。メインプログラムであるヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ第1番」は

元々8人のチェリストのために、「第5番」は8人のチェリストとソプラノのために書かれた作品です。今回はチェリストが15名と本来の約二倍であるうえ、

ソプラノにかわってフルートでの演奏であり、通常の音楽ホールとは異なる空間での演奏でした。

そのため、音色の質や呼吸のタイミングを合わせ、その上で豊かな音楽表現をするということにおいてかなり挑戦的な試みであったと言えます。

しかし、指揮の木許はヴィラ=ロボスの音楽への深い理解と多くのステージ経験を生かして空間を自在に操り、それにぴったりと呼吸を合わせる

15人のチェリスト達とともにうねる波のような抑揚のある音楽を生み出す姿は、圧巻の一言でした。

 

ソリストを務めたフルート奏者の北畠奈緒の演奏は、チェロの重厚な音の中で、繊細で女性的な演奏でありながら、聴かせどころを的確に捉え、聴く者の心をがっちりと掴みました。

一曲のみの登場だったので、もっと彼女の演奏を聴きたかったという声も多く聞かれました。

アンコールではブラジル風バッハ第4番より「前奏曲」。これまでの熱気を沈め、祈りと共に終幕へのカウントダウンをしているようで、なんとも物寂しさを感じさせます。

木許が「自分の人生を変えた、最も大切な音楽」と紹介したように、充実した音楽の時間を反芻するのに相応しい選曲でした。

盛況のうちに終わった第4回ミニコンサートは、ミニ…どころかとても豪華な演奏会となりました。

現在インターメディアテクでは『驚異の部屋 京都大学バージョン』を開催しており、来場者の皆様には目でも耳でも楽しめた休日になったのではないでしょうか。

2014年も皆様を一風変わった音楽の世界へ誘うコンサートを開催したいと思います。どうぞお楽しみに。そしてよいお年を。

 

たくさんのお客様にお聞き頂いて幸せでした。来年度以降もどうぞよろしくお願い致します。

 

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