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橋を架ける。

 

師に代わって門下の新入生の方々を教えさせて頂いている。

師匠から託された門下生は四人になった。

僕に何が出来るのか?責任の重さと自らの未熟すぎる立場に躊躇することもあるけれど、

少しでも師の言葉に応えることができるよう、一人一人丁寧に、今の僕に出来る限りのことをお伝えしたい。

 

教えさせて頂くことで自らの動きについてもより意識的になる。

教えることは我が身を振り返ることであり、我が身を正すことに繋がる。

師匠が言外に秘めたであろう、こうしたメッセージをしっかりと活かしていかねばならぬ。

そして同時に、教えることは自分が振れることと必ずしも一致しないのは勿論、独特の思考を要求されることが分かってきた。

はみ出しを整えていったり、はみ出しから新たな形を創造したり、あるいは横たわる差異に橋を架けたり。

師が僕に今まで下さった言葉は、そういう複雑な思考の結晶だったのだ、と気付かされる。

 

学生指揮者を務めている女性が昨夜のレッスンに持ってきた吹奏楽曲、「天空への挑戦」。

こっそりと彼女に負けないぐらい勉強しておいたので、譜面も背景もほとんど頭に入っている。

ここはこうだよ、と師の椅子に座って教えさせて頂きながら、壁一枚隔てたところで穏やかに座っていらっしゃる師匠を思った。

中学校の吹奏楽指導へご一緒させて頂いたときの師の姿を、棒ひとつで中学生たちの音を見違えるように高めてしまう師の姿を重ねながら。

不意に涙が溢れそうになる。湧き上がる感情に飲み込まれないように、四分の五拍子を振った。

 

 

 

 

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