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インバル×都響のマーラー第1番「巨人」@みなとみらい

 

インバル×都響でマーラーの交響曲第一番を聞いてきました。

この曲はかつて生で二回聞いていて、CDでもテンシュテット×シカゴの録音などを浪人中から愛聴していました。

どこか惹かれるものがあって、継続的にスコアを読んでいる曲でもあります。

 

 

一楽章のテンポ設定は今まで聞いた中で一番しっくり来るもので、「ゆっくり」でも「じっくり」でもない落ち着いた呼吸でした。

一楽章には Langsam, Schleppend, wie ein Naturlaut -Im Anfang sehr emachlich-

(ゆっくりと、引きずるように—終始極めてのどかに—)という表記があるのですが、まさにそうした表記を反映した作り方だったと思います。

一楽章から二楽章へアタッカで行ったのはびっくり。弦の人々が物凄い勢いで譜めくりしていらっしゃいました。

二楽章では三つ振りと一つ振りを混在させた面白い振りをしていましたが、それによって長い音符は長く、動かす音符は動的に、というふうに

きちんと伸び縮みがつけられていて、Kraftig bewegtという通り「力強い動き」が感じられる作りでした。

三楽章ではコントラバスの素晴らしさもさることながら、三楽章に入ってからの音色の変化がとても鮮やかで

(ステージ上に暗い夢のような雰囲気がモヤモヤと漂っていた!)プロ奏者の凄みを改めて目の当たりにしました。

四楽章はインバルとしてはもう少し激烈に行きたい部分があったのでは、というように見えましたが、

全体を通じて見通し良く丁寧な演奏だったのではないでしょうか。

 

 

勉強させて頂いた所もたくさん。

指揮のテクニックで言うところの「分割」を出来る限り削っていけ、と師匠が折りに触れておっしゃる理由を肌で体感しました。

分割すればアンサンブルは整うかもしれないが、必然の場で上手くやらない限り、それまでに作って来た音楽の流れや音色、

音のテンションや方向性が分割によって切断されてしまう事がありえる。

 

ついついテンポや自分の問題で分割してしまいがちですが、何のために/誰のために分割するのか、ということを良く考えなければいけない。

音楽の向きや奏者が作っている音色を大切にして、流れに預ける所を預けて自由に振れるように勉強せねばなりません。

駆け出しの身にはマーラー1番は遥かに遠い曲ですが、様々な発見と共に、幸せな時間を過ごさせて頂きました。

 

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