「マイナスイオン」というものがあるらしい。もうブームは収まった気がするが、体にいいらしい。
「xxは体にいい」という言説に踊らされる哀れな消費者。家庭科の授業ちゃんと聞いてたのかしら?家庭科ほど将来役に立つのが確実なベンキョーはないでしょうね。あ、男子が家庭科を履修するようになった時期とか内容の変遷とか分かって書いてますからね。ただのアオリ文句でした。
技術家庭科の授業内容は直接生活にかかわることですから、役に立つことが見えて良いですね。数学、化学、物理なんかは「2次方程式なんて使わない」という名言に代表されるように、役に立たないと考えられる科目です。数学と理科をいっしょにしちゃだめか。理科は現実世界のことを扱っていますから、少しは役に立ちそうでしょ。「科学的思考」を身に付ける!とか言えばかっこいいでしょうな。
どんな場面で役立つの?と聞かれたら、個別具体的に回答していくことは可能でしょう。
化学の実験でトップツがどうの沸石がどうのって覚えさせられたかと思いますが、あれは「溶液を加熱中に突然沸騰するとことがあり、高温の溶液が飛び散り危険である」というお話です。怪我しないようにしようね、ってことです。硫酸なんて浴びた日にゃ大やけどですからね。これ、役に立つ話と関係が無いように見えますか。家庭で実験するわけじゃないですからね。でも、料理はするでしょう。てんぷら作ろうと思って、油満載の鍋をほかって置いたらどうなりますか?やけどか火事のどちらかでしょうか。加熱実験と同じ話でしょ。
そんなもの「火をかけた鍋には気をつけろ!」って教えればいいことだし、そもそも親に教わっているだろうと思われる方、私もそう思います。こういうのを科学的な知識が何か具体的な情報を「示唆している」なんて言ったりします。直接ではないんですね。あまりいい例えではなかったですが、理科で勉強したことでメチャクチャ金が儲かるだとか、そういった「役に立つ」は企業に任せておきます。今日はそういう話がしたいんじゃないんです。前置きが長いですね。
科学的思考力を身に付ける。そういったときは、「知識」と「考え方」のセットを身に付けることだと私は考えています。理論だけでは現実世界に応用できないし、知識だけではただの雑学になってしまい、初めて出会うような現象に対処する術はありません。もっともらしい説明をつけることもできません。
まぁこんなことを言っても、多くの高校生は受験に使う科目だからといって化学や物理を勉強するわけです。大学に行きたいんだから当たり前です。私もそうでした。ただ、受験のためとはいえ、そこで身に付けた知識と考え方を後の数十年なりの人生で活用できないなんてもったいないと私は思います。私も中学のときは「のこぎりなんて使わねーし」とか思ってました。大学生になって使いました。いつ役に立つか分からないものです。(それにしても義務教育でPCの使い方もっとちゃんと教えたほうが・・・)
受験のため、とはいえそれが後で役立つ。残念ながら、理科で勉強したことが最も役に立つのはネガティブな方向です。騙されない、ということです。
「納豆食ってダイエット」「バナナ(以下略)」確かに納豆もバナナも食べてる私はBMIが18くらいしかない痩せ型の体系ですが、納豆食ってダイエットは常識的に考えてないと思います・・・。その「常識」ってやつの一部を、化学なり生物なり家庭かなりで勉強したことどのが構成しています。騙されないぞ^^v
さて、ここまで勉強したことが役に立つ的な話でした。でも、私が書きたかったのは、いまの高校生は勉強してすらいないんじゃない?ということです。前置きが長すぎました。
「知識」と「考え方」のセットを身に付けていて、あと計算が速ければ試験では高得点が取れます。ということで私が受けた平成20年度センター試験の化学1大問1問2aを見てみましょう。
「ヘリウム原子の直径(?)m程度」で選択肢が(1)10^(-20) (2)10^(-15) (3)10^(-10) (4) 10^(-5) です。
理系でない方に分かりやすく書くと次のようになります。選択肢3,4は身近な単位でも書いてみました。
- 0.00000000000000000001 m
- 0.000000000000001 m
- 0.0000000001 m (=0.1 nm)
- 0.00001 m (=0.01 mm = 10 μm)
ナノテク!とかバイオ!とか言って喜んでる方々がいる現代において、ナノテクの基本である原子一個の大きさくらい知っていて当然だと思っていました。だってセンター試験を受ける受験生なんですもの。答えは1オングストローム。え?選択肢に無いって?そりゃあ現在の高校化学ではオングストロームを扱わないことになっているからね。メートルだといくつになるのか知っていないといけないわけですね。きゃー暗記テストだわー(><)
本番の試験でもこれは難問にランクされるようです。それも奇異な知識を問う問題として。大学入試センターの問題作成部会の見解では次のようになっています。
問2は原子の大きさ、質量に関する基本的な知識・理解を問う問題であるが、問2aの原子の
大きさに関しては正答率が極めて低かった。また一部より「数値の記憶を問う問題である」と
の批判を受けたが、ナノサイエンス、ナノテクノロジーの重要性が増大してきている今日、原
子のおおよその大きさ(オーダー)を知ることは、物質の成り立ちや構造について具体的なイ
メージを持つために必要な知識であろう。
また、啓林館の公表している資料では次のようになっています。
第1問は,「物質の構成」に関する設問で,例年同様基本的な知識を問うものが多く,正答率も高かった。ただし,問2a は正答率25%程度で,今回のセンター試験の中で最も低かった。これはヘリウム原子の直径を問うもので,覚えていなければ答えようのない問題であった。
覚えてなくても推定できそうなものですが。まぁいいや。正答率25%で今回のセンター試験の中で最低とはどういうことでしょう。受験生の諸君は原子の大体の大きさも知らないわけです。文系も化学は受験していますが、多くの文系は生物を選択することを考えると・・・日本の産業界の将来が心配です。大丈夫か理系?
一応弁護しておくと、いっしょに浪人していた友人(東大生/理一)も間違えていました。「2か3で迷った」そうです。また、受験で化学といったら大きさのような物理的性質が問われることが少なく、多くの参考書にも原子の大きさについては記述がほとんどありません。あれ、弁護になってないかナ
大学受験のレベルなんてこんなもんです。科学的思考力がどうのと言う前に、高校生の知識レベルはここまで低いものでした。ちゃんちゃん。
※注意※
現行のいわゆる「ゆとり教育」では「考える力」を育てることに注目しています。したがって、今回引き合いに出したようなwikipediaで調べれば出てくるような知識を詰め込んだ生き字引は好ましいものとされていません。試験問題も情報の多くは問題冊子に記載され、そのデータをもとにどう思考するかが問われます。例えばヘリウムの大きさを間違えた理系の東大生くんは細胞のサイズなどを考えてちゃんと絞込みができています。
また、これはいわゆる学力の低下を指摘するものでもありません。同じ問題を30年前に出して調査したわけでもなく、上述のようにカリキュラムも違いますので短絡的にこれだから最近の若者はと言うことはできません。ただ、私は理系ならこれぐらい知ってろよとは思います。
朝倉 彰洋 適当に書いている