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【映画企画取材】藤岡利充監督(映画監督)


【監督の日本人論】「日本人は『大人になるのは損だ』と思っている」

-ご自身としては、自分が作りたいものと、世間が求めているものは合致しているという感覚がありますか?

いや、それはまだ足りてないんだと思いますけどね。「立候補」もそんなに広がったわけではないから。

 

-どうしても、TOHOシネマズとかでやっている「メジャーもの」には負けちゃいますよね。インディペンデントの作品を、TOHOとかでやるにはどうしたらいいんだろう……と考えたことはありますか?

染み込まないですよね。パイがあって、広がっていくかと思ったら、小さな枠の中だけでぐるぐると回っている感じ。 何回かアプローチはしてみたんですけど、やっぱり難しいですね、時代が呼ぶ呼ばないもありますし、選挙、政治という主題にアレルギーがあったりすると思うんですよ。実際、「立候補」っていうタイトルはカタいですし。

 

-今の映画は商業主義という感じじゃないですか、ジャニーズを使っておけば客は入るだろう、みたいな。そこをどうにかできないのかなって思うんですけど。

難しいですよね。僕が思うのは、いま40代とか50代の人がみんなカジュアルなんですよ。SMAPがいつまでも子供なんです。これって、日本人が「大人になると損だ」って思ってるからなんですよ。「日本人総子供化」というか。昔だったら、みんな「早く大人になりたい」って言ってたのに、現代は子供のままでいたほうが得である、という感じになっている。だから、需要もそうなってるんですよね。SMAPだって、スーツ着たりして、大人になればいいのに、やめさせられないというかね。キムタクはキムタクのままでいてほしい、いつまでも若くあってほしい、と思っているわけですよ、みんな。メジャー映画はみんなの望むものを作るのであって、自分の主張なんかないんですよ。

 

-ご自身が映画をつくるときに、そういう需要に寄り添っていくべきだと考えてはいらっしゃいますか?

いや、自分は、大人は大人になるべきだと思っているので、それを自然と感じさせるようなものを作って、世の中の流れを変えられたらなとは思ってますけどね。


-想田監督も、アメリカと日本での評価の乖離が大きいですよね。こんなに文化的にすぐれた人が、日本では評価されず海外に出て行く。当の日本人はジャニーズにハマっている……って。


それをどういう風に変えていくかですよね。叱って変えるのか、自然に持っていくのか。僕はまずほんとに身近なところからスタートしていこうと思っていて。自分の親を認めるとか、それだけでだいぶ変わると思うんですよね。 父親を馬鹿にするとか、そういうことは巡り巡って、自分の子供にも同じことをされますからね。

 

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