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Interviews

カメラマン宮嶋茂樹取材


== 中東革命報道の最前線 ==

1.リビア情勢


学生:

つい先日までエジプトにいたと聞いていますが、最新の中東情勢についてお聞きしたいです。

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宮嶋:

今週はリビアへ向かう予定だったんだけど、昨日(3月2日)状況が代わってしまったんで行きそびれてしまいまして。

地理的には、東にエジプト、西にチュニジア、北に地中海があって、海岸線にだけ人が住んでいる。

リビアの首都トリポリはチュニジア寄りの西部にあって、今(3月3日時点)東部の一部、トブルクとベンガジが反政府側に抑えられているんです。

だけど、カダフィ側が押し寄せてきて海岸線分断して、孤立して包囲されるっていうんで昨日慌ててプレスが続々脱出してきているんで、エジプトとチュニジアのどっち行こうかって迷っています。今週末の出発は諦めようかなって

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今回だってリビア行きたくないですよ。

エジプトだって行く前本当に後悔しました。

カイロ便が次々欠航していて、幸か不幸かトルコまで行っちゃったけど、そこでも欠航して。

流石に嫌な予感して、飛んだら行かなきゃいかないけど、欠航になったらいかないでいいんで、頼むから次も欠航してくれないかと思うわけです。

だけど結局飛ぶっていうんで仕方なしに行ったら、カメラを盗まれた、と

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学生:

日本では少ないながら外電で情報が入ってきますが、現地におられたら外電やテレビで流せない情報とか入ってくるんでしょうか

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宮嶋:

流せない情報ってことはないけど、流れない。

今回もユーチューブなどで動画が上がっているけど、外国人があそこで取材するってかなり不利なんですよ。

まずは外国人ってだけで目立つし、アラブ人は大抵の中東諸国でアラビア語が共通語なのでそれだけで優位なので、戦闘シーンとかは殆どアラブ人の現地ストリンガーが撮っている。

僕ら非アラブ人は最初からハンデ承知で行って、中には非アラブ人でも凄い写真を撮ってくる人間がいるけど、今回の取材ではあまりいなかったですね。

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2.エジプト取材


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学生:

今回エジプトではカメラを官憲に没収されたと聞きました。

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宮嶋:

こんなこと、初めてです。

全部やられたのも初めてです。

でも全部やられたからって言って写真撮れませんでしたじゃ、うちらプロは通用しないから、買えばいい、借りればいい、最悪盗めばいいって世界です。

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学生:

そこで、運よくデジカメを借りられたと

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宮嶋:

本当にアマチュアの、それ(ゼミ生撮影使用機材)より安いやつだからね。

最終的に自分の被害は結果的に見てまだ小さい方だったけど、最初に没収されちゃったのがかなりハンデあって、そこから時間や機材のハンデもあって随分後れを取りました。

それに今回、ムバラクの辞任演説をはじめ、エポックメイキングは夜が多かったんです

そうなると技術以上に暗い所で取れるかどうかっていう機材の能力が左右するんですよ。

今のデジカメって好感度強くて昔じゃ出来ない撮影が出来ますけど、うちらプロの好む写真撮影の出来るのは大口径の好感度の高い、いわゆる高級機というやつが圧倒的に強いですよ。

そうなるともう手も足も出ないですよね。

あの時、プレスの集まるホテルで他のカメラマンのPC見てて愕然とする訳ですよ。本当に上手いんですよ。でも自分の技術云々の理由以前に機材の問題で撮れない。あの時のエジプトには、ジョンムーアのような、タイムやNYタイムスとかで仕事をしている、そんな誰もが知っている世界の最高のオールスターたちが、日本製の最高のカメラ持ってきていて、仕事をしていたんですよ。

だからカローラでF1参加してるような気分ですよ。折角F1来れたのにポールポジションじゃなくてドケツで、そこからハンドル握らされてやれって、もう非常なハンデです。けどそれでも撮らなきゃだから。